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Bruno Haack ( リダイレクト:エレベーター ) : ウィキペディア日本語版
エレベーター

エレベーター(, )は、や荷物を載せた箱を垂直または斜め・水平に移動させる昇降機である。
日本では、人が乗れない小荷物専用のものはリフトと呼ぶことが多い。英語では英米ともリフトを (ダムウェーター) と呼ぶ。建築基準法でもかつてはそう記載されたが〔dumb(物の言えない,口のきけない)waiter(給仕人)が差別用語とされたため、読み替えられた(神東エレベータ株式会社 -豆知識- より)。〕、(小荷物専用昇降機)に変更されている。
== 歴史 ==
エレベーターはすでに紀元前から存在し、アルキメデスロープ滑車で操作するものを開発していた。ローマ時代に入ると、ローマ皇帝ネロは、宮殿内に設置した人力エレベーターを使用していたほか、コロッセオには闘技場のあるフロアまで運ぶ人力エレベーターが用意され、剣闘選手や動物の入場に使用されていた。
中世ヨーロッパでも、滑車を用いた巻上機があり、一部で利用されていた。17世紀に入ると、釣り合いおもり(カウンターウェイト)を用いたものが発明された。
19世紀初頭には、水圧を利用したエレベーターがヨーロッパに登場し、工場などで実際に使用された。また1835年に蒸気機関動力として利用したものが現れた。動力式エレベータは最初にイングランドで導入され、1840年代にはアメリカの工場やホテルでも導入が広がった〔; 〕。ただし、水力や蒸気機関を用いたエレベーターは、非常に速度が遅く、安全性の問題があった。
これに解決の糸口を与えたのは、アメリカエリシャ・オーチス (Elisha Graves Otis、1811-1861) である。彼は、1853年のニューヨーク万国博覧会にて、逆転止め歯形による落下防止装置(調速機、ガバナマシン)を取り付けた蒸気エレベーターを発表した。オーチスは、来場客の面前で、吊り上げたエレベーターの綱を切ってみせ、その安全性をアピールした。このエレベータはニューヨーク水晶宮 (en) に設置されていた〔"Skyscrapers," ''Magical Hystory Tour: The Origins of the Commonplace & Curious in America'' (September 1, 2010).〕。
水力式や蒸気機関式は、冬季に水が凍結すると運行に支障が出た。1889年に電動機式のエレベーターの開発以降、電気の供給安定とともにエレベーターの動力源として電動式が主流となった。
電動式エレベーターは制御機構の高度化と建物内の高速な垂直方向の流通アクセス性の向上により、超高層建築物の建設に追い風をもたらした。
1880年代以降はアメリカ合衆国シカゴニューヨーク高層ビルの建築競争が始まる。特に1920年代にはニューヨーク市マンハッタン地区ではクライスラービルが高層ビルとして初めてエッフェル塔の高さを上回るほどとなり、世界一のビルの高さを競う新築超高層ビルの建設ラッシュが起き、超高層ビル建設の動きはのちに世界的に広がった。
* 1857年3月23日、オーチスの旅客用エレベータがニューヨーク488 ブロードウェイに初めて採用される。これが世界初の実用エレベーターを設置した事例となる。
* 1859年、ニューヨークブロードウェイに建てられたホテルに、オーチスのエレベーターが採用される。それまでホテルの上方階は、荷物の上げ下ろしが大変なので、不人気で料金も安かった。しかし実用的なエレベーターの登場以降、環境のよい上方階は宿泊客の人気を呼ぶようになった。
* 1861年、オーチスは蒸気エレベーターの特許を取り、オーチス・エレベータ・カンパニー (Otis Elevator Company) を設立。
* 1870年、ニューヨークエクイタブル生命ビルが旅客用エレベータを設置した世界初のオフィスビルとして建設される〔Equitable Life Assurance Society of the United States (November 1901). “The Elevator Did It ”. The Equitable News: An Agents' Journal (23): 11 2012年1月10日閲覧。.〕。
* 1880年、ドイツのヴェルナー・フォン・ジーメンスが世界初の電動式エレベータを開発〔The History of the Elevator — Elisha Otis 〕。
* 1887年、アメリカのアレクサンダー・マイルスが自動ドアの付いたエレベータの特許を取得。
* 1889年、パリエッフェル塔に水圧式エレベーターが設置される。
* 1889年、オーチス・エレベータ社は、電動式エレベーターを開発。ニューヨークのビルに世界で初めて採用される。以降、ニューヨークの摩天楼化に拍車がかかっていく。
* 1890年11月10日東京浅草凌雲閣に、藤岡市助が設計した日本初の直流電動機式のエレベーターが設置された。エレベーターは地階に据え付けた7.5馬力のモーター1基に対し、M字状にロープで連結したかご2機を同時に運転し、1階か8階だけに止る独自の構造をしていた。故障が多く、のちに撤去された。
* 1961年8月、210m/min (=12.6km/h)のエレベーター(三菱電機製)を有する京都国際ホテルが開業。当時日本最高速。
* 1968年4月12日、300m/min (=18km/h) のエレベーター(日立製作所製)を有する霞が関ビルディングが開業。当時日本最高速。
* 1974年3月、540m/min (=32.4km/h) のエレベーター(日立製作所・三菱電機製)を有する新宿住友ビルディングが開業。当時世界最高速タイ。
* 1978年4月6日、600m/min (=36km/h) のエレベーター(三菱電機製)を有するサンシャイン60が開業。当時世界最高速。
* 1993年3月、川崎市にある川崎ハローブリッジに日本で初めてとなる立体横断歩道橋に整備されたエレベーターが完成。
* 1993年7月16日、750m/min (=45km/h) のエレベーター(三菱電機製)を有する横浜ランドマークタワーが開業。当時世界最高速。
* 2003年、長崎市道相生町上田町2号線に日本で初めて公道に整備されたエレベーターが完成。
* 2004年12月31日、1,010m/min (=60.6km/h)のエレベーター(東芝エレベータ製)を有する台北国際金融センタ(通称TAIPEI101)が開業。これにより、ランドマークタワーの導入機は世界第2位となった。ただし、1010m/minの速度が出るのは昇りのみで、降りではランドマークタワーが最速。かご内の気圧制御などの初の実用例となっている。
* 2006年1月17日、東芝エレベータが磁石を使って姿勢を安定させるエレベーターを開発した。昇降路に取り付けられたガイドレールとかごが接触しないため振動騒音が抑えられる。
* 2006年3月1日、日立製作所が2列の昇降路を最上部と底部でつなぎ、複数のかごを循環運転させる循環型エレベーターの実証実験に成功したと発表。
* 2014年完成予定の上海タワー(上海中心)に1,080m/min(=64.8km/h)のエレベーター(三菱電機製)が設置されることが決定している。
* 2014年4月21日、日立製作所が従来よりモーター出力を向上しロープ重量の30%軽量化による世界最速となる1,200m/min(=72km/h)のエレベーターの開発に成功したと発表した。2016年に中国広州の高層ビルに設置される予定である。
 
なお、1890年11月10日東京浅草の展望台「凌雲閣」に日本初の電動式エレベータが設置されたことにちなみ、日本エレベータ協会は、11月10日を「エレベータの日」としている〔社団法人 日本エレベータ協会|昇降機百科|エレベーターの歴史・変遷 〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
ウィキペディアで「エレベーター」の詳細全文を読む

英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Elevator 」があります。




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